春から一緒に英語学習を始めませんか?
「基礎英語1」 田中敦英先生が考える、効果的な英語学習法とは?

一年間、「基礎英語」の講師を務めさせていただきました。「一生に一度くらいは出てみたいなあ」なんて思っていたので本当にうれしかったですし、全国の皆さんが聴いてくださっていることに対して責任の重さも感じた一年でした。
実は私自身、中学生から基礎英語のリスナーでした。特に中1の頃は一日も逃さずに録音しながら聴いていましたね。中2からは学校生活が忙しくなって聴けないときもありましたが、最初の一年間しっかり聴いていたので講座にもついていくことができました。あのとき聴いた基礎英語が、私の英語力のベースになっています。友達と一緒に英語でストーリーを作って演じるスキットコンテストでは、応募したテープが入賞して自分の声がラジオで流れたことも。当時からNHKの英語講座には縁があったんですね。
基礎英語の他に「英会話入門」はよく聴いていました。出演者の2人が1分間トークした内容を録音して書き取っていたのですが、内容や文法、語彙力などを総合的に身につけることができて、今思うと最強の受験勉強法でした。

「音読」と「フレーズで覚える」のが効果的

英語学習で効果的なのは音読すること。頭だけでなく、音で理解することが大切です。高校になると文章も長くなるので全部を音読する必要はありませんが、新しい文法が出てきたり、日本語で意味を確認しないとわからない文章が出てきたりしたときは、声に出して読んでみましょう。句切れや強調部分がわかり、文章のポイントを理解することができます。
音読の効果をいちばん実感しているのは私自身です。基礎英語の講座の中で紹介したフレーズが、普段の生活でも意識せずにスッと出てくるのです。この一年でいちばん英語が身についたのは私かもしれませんね(笑)。
語彙力を増やすのに単語集を使うのも悪くないのですが、できればフレーズで覚えるほうがいいでしょう。サプリメントではなく日々の食事から栄養をとったほうがいいように、本物の会話表現から学ぶことが大切です。
単語に思い入れを作るのも効果的な学習法です。私も単語ノートを作って勉強しましたが、意味だけでなく、どこでその単語と出会ったかを記録することで忘れにくくなるのです。
例えるなら、単語はゲームでコレクションするキャラクターやアイテムのようなもの。「この単語はこの単語の後ろにはつかない」のような特性は、いわばキャラクターの「属性」です。そうやって覚えていくと、自然とお気に入りの単語が出てきて、もっと語学が楽しくなりますよ。

英語は中学! 基礎英語を何度も繰り返して

「英語は中学!」というのが私の持論です。高校以降の勉強は中学の学び直しプラスαにすぎません。高校や大学レベルになると、勉強が辛くなることがありますが、そういうときは自分が勉強しているレベルから1〜2学年分戻ってみるといいでしょう。
今はテキストや番組のストリーミング、CDなどで基礎英語を復習することができます。私も基礎英語の講師に決まったとき、もう一度ラジオを聴き直しました。簡単だと思っていた基礎英語ですが、発音のポイントや忘れていたフレーズなど、聴くたびに新しい発見があります。固有名詞を置き換えたり、あえてテキストを伏せたまま聴いてみたり、いろいろ工夫して勉強してみてください。
英語学習が続かないという人は、一緒に勉強する仲間を作りましょう。友達、きょうだい、親御さんと一緒に基礎英語を聴くのがおすすめです。
ポイントは何時に聴くのかを決めておくこと。もちろん聴き逃しても別の時間に聴くことができるわけですが、聴く習慣をつけることが大事なんです。私は朝6時に自分の基礎英語で目覚めることを習慣にしていますよ。
テキストを定期購読するのもいいですね。とにかく継続できる環境をご自分で作っていくことが大切です。

インタビュー・文・写真/山田井ユウキ

プロフィール

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田中敦英先生(たなか・あつひで)
1979年東京都生まれ。東京外国語大学大学院博士前期課程修了。桐朋中学校・高等学校にて14年間教壇に立っている。著書に高等学校英語教科書『English Navigator Ⅰ』(共著、旺文社、2007)、『声に出すリスニングトレーニングCD』(共著、ELEC同友会英語教育学会監修、クリエイティヴ・コア、2008)など。「NHK高校講座 オーラルコミュニケーションⅠ」(2011年度)、「NHK高校講座 英語表現Ⅰ」(2014年度)に出演。