100作品に及ぶテキストの「はじめに」から厳選した「名著が読みたくなるフレーズ」をお届けします。

 

21~30作品目は?

――「未来が閉塞すると人は過去に戻りたがる」という言葉があります。しかし、夏目漱石はそれをしませんでした。本人の語彙を使えば、涙をのんで上滑りに滑りながら、ぎりぎりもちこたえたのです。血を吐く思いで、前のめりに滑っていったのです――

21/100 夏目漱石『こころ』 講師:姜尚中さんによる「はじめに」より
※「100分de名著ブックス」にてお読みいただけます

――時代の流れに取り残され、とどまっている人々に向けて生きていくための処世術を教えたり、支配層に向けて不安定な時代に国をいかに治めていくかを提示する統治論として書かれたのです――

22/100 『老子』 講師:蜂屋邦夫さんによる「はじめに」より
※「別冊100分de名著」にてお読みいただけます

――トルストイが独立独歩の態度を貫き得たのは彼が地主貴族だったから。生活のために書いたドストエフスキーやチェーホフと違い、貴族の生活を真正面からとりあげた『戦争と平和』はロシア文学史上希に見る大胆な挑戦でした――

23/100 トルストイ『戦争と平和』 講師:川端香男里さんによる「はじめに」より

――古典ギリシア語で書かれた散文文学の最高峰ともいわれる、この作品の主題は「愛とはなにか?」。恋愛に憧れる人、悩む人、過ぎ去った想い出に耽る人、家族愛や友愛、私たちが経験するその「愛」を、哲学はどのように論じたのでしょうか――

24/100 プラトン『饗宴』 講師:納富信留さんによる「はじめに」より

――正史として編纂された日本書紀とは異なる、正史からこぼれた生き生きとした物語です。また、日本人の起源(ルーツ)が思った以上に複雑で、それゆえに豊かであることも教えてくれます――

25/100 『古事記』 講師:三浦佑之さんによる「はじめに」より
※「100分de名著ブックス」にてお読みいただけます

――『おくのほそ道』は虚実相半ばすることによって、松尾芭蕉の宇宙観や人生観を反映した世界的な文学作品になりました。もし単なる旅行記だったならば、この本がその後、得たような評価を得ることはなかったでしょう――

26/100 松尾芭蕉『おくのほそ道』 講師:長谷川櫂さんによる「はじめに」より
※「100分de名著ブックス」にてお読みいただけます

――ヨーロッパ列強の帝国主義が中東世界の植民地化をもくろみはじめたころ、国際的な力学の中で、征服者が被征服者を理解するためのツールとして使われたのです――

27/100 『アラビアンナイト』 講師:西尾哲夫さんによる「はじめに」より

――読者の魂を鷲づかみにし、読者が主人公に成り代わる、あるいは主人公が読者の魂を乗っ取ってしまう「憑依」する力において『罪と罰』にかなう小説はない、とわたしは信じています――

28/100 ドストエフスキー『罪と罰』 講師:亀山郁夫さんによる「はじめに」より

――世阿弥は世界を一つのマーケットとしてとらえ、その中でどう振る舞い、どう勝って生き残るかを語っています。芸術という市場を勝ち抜いていくすべを記した戦略論でもあるのです――

29/100 世阿弥『風姿花伝』 講師:土屋惠一郎さんによる「はじめに」より
※「100分de名著ブックス」にてお読みいただけます

――多くの恋愛本が「人から愛されるための技術」をテーマにしているのに対して、この本は逆に「人を愛する技術」をテーマにしている。「愛される」ことよりも「愛する」ことのほうがずっと重要なのだ、とフロムは強調しています――

30/100 フロム『愛するということ』 講師:鈴木晶さんによる「はじめに」より

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